存在を証明する

我々人間は生まれたその瞬間では無個性で生まれ名前がつけられることで初めて個性を得ます。なぜなら、名前は自分という存在を主張するための最大の肩書であるからです。そして人生を歩む中で色んな知識や情報を得て人格や考え方を形成していくわけです。考え方や行動を変えることもあります。10代20代は特にいろんなことを吸収しやすいのでころころ変わります。発達心理学でいうモラトリアムは人格形成に必要な猶予期間のことを指し、10代から20代に該当すると言われています。モラトリアムに入っていると人格を形成するために自分と向き合う機会が増えていきます。その中で「あれ?自分ってどういう存在なんだろう」「なんのために生まれてきたんだろう」「今俺(私)は何をやっているんだろう」と哲学的な疑問が湧き出てくることがあります。なぜこういう思考に至るのかというと自分自身の名前で生きて来なかったからです。名前という自身の存在を証明するための肩書を自らの手で使ってこなかったことが原因です。

人は生きている間、自分の存在をぼんやりながらに知覚していてその存在が壊されることはないと無意識に考えながら生活しています。日本は集団主義の特徴が強いので小中高と過ごしていて集団に馴染めていれば自分という存在を見つめることはなくそこに在ることに安心感を覚えます。そこに善悪を論じる必要はないですが、今自身の存在意義や生まれた意味に悩むなら自分の名を積極的に活用しましょう。

ですが、名前を活用して生きることの重要性を説くよりもリスクを恐れるあなたにとっては名前を持たないことの恐ろしさを説いたほうが良いかもしれません。

UnsplashLuiz Rogério Nunesが撮影した写真

名前を持たないことの恐ろしさ

誰でもないなにかになる

名前を持たないと“誰でもない何者か”になります。誰でもないとはこの世の中から認識されない状態を指します。何者かとは名字はあるものの名前はない状態を指します。一般的に名前というと上の名前だったり下の名前だったりと名字と名前をごっちゃにして考える人が多いですが、名字は名字、名前は名前です。例えば自己管理 紹介という人がいれば自己管理が名字、紹介が名前になります。名字はその家系のものであることを表す称号です。つまり自己管理と言う名字だけだと自己管理家のものであることはわかるが、その中の誰なのかという個人までは特定できないのです。紹介という名前がつくことで、自己管理家の紹介という者という個人まで特定できるようになります。故に名前は個人を表す最大の肩書になるというわけです。

通常、社会の中に我々は戸籍を持っているので社会の中に名前はあります。が、活用していなければ廃れていきます。諸行無常。永遠のものなんてありません。廃れてしまえば名前を持っていたとしても社会から認識されないので持っていないのと同じ扱いになります。そうして社会から疎外感を覚えるようになります。

すると、何者でもないなにかである自分の空白感や虚無の部分を埋めるように他者とのつながりを求めるようになります。行きたくもない飲み会に行ったり、自分はどうしたら良いのかわからないからと周囲の判断に身を委ねたりします。そうやって出来上がっていくのが、自発的に生み出した思考や価値観が何も無い肩書だけで埋め尽くされた誰でもないなにかという存在になります。当然、他者があなたをどんな人間かを判断するときは外見や行動を見るのであってあなたの思考方法や価値観を見てくれるのではありません。そして、あなたの行動はあなたの持つ思考方法や価値観が反映されるので、自発的に思考方法や価値観を生み出さなかったあなたの行動の薄さは相手に見透かされます。

ひとつ例を出します。“人生には時間がない”という言葉を本田圭佑は話してますが、このセリフを本田圭佑が言うのと本田圭佑からモチベーションを得たひとが言うのとでは説得力が違います。どちらの説得力が強いのかと言ったら当然本田圭佑です。なぜなら、この言葉を意識して取り組んできたのは本田圭佑のほうが期間として長いからです。人生には時間がない、人間いつ死ぬかはわからないのなら今自分にできる精一杯のことをやろうと彼が日々全力を積み重ねて来たからです。同じ言葉を使っていても自分の持つ思考や価値観を有言実行し継続した者こそその人生の厚みが土台となっているので言葉の重みが増します。そのマインドセットに刺激を受けて真似をしているだけでは人生の土台は出来上がらないということです。

大切なのは“何をいうか”ではなく“誰が言うか”。あなたの人生が空っぽならあなたが何を言おうと相手はあなたの空っぽの部分を見抜いて信用をしてくれません。それはあなたが自分の名前を活用することなく誰でもないなにかとして生きてきたからなのです。

名前を活用するには

UnsplashJorgen Hendriksenが撮影した写真

誰でもないなにかから脱却するあるいは誰でもないなにかにならないようにするためにはどうすればよいのでしょうか。一言で言うならあなたの名前を活用しなさいとなりますが、“名前を活用する”という考え方が曖昧でピンとこないはずです。中には、先程に出した本田圭佑の例から、じゃあ自分も本田圭佑のように毎日を全力で生きればいいんや。と思ったひともいると思います。しかし、そう思っているひとはここまでで何も学んでいません。いわゆる成功者に憧れてこのひとみたいに成りたいという気持ちはわかりますが憧れだけではそのひとのようには成れません。

ここからする話は名前を活用するに通じる本質的なことだと思って聞いて下さい。

まず、なぜ憧れだけだと憧れの人のように成れないのかというと、今のその人しか見ていないからです。その人が今のようになるまでにこれまでの人生でどのような選択をしてきたのか、どのようにして生活をしてきたのかを想像したことがありますか。結果を残す人ほど凡人には理解できないほどの努力を積み重ねています。しかも、当人たちはそれを当たり前と思ってやっているので周りにその努力を苦労話のようにすることはありません。彼らが話すのはそうした行動の話ではなくマインドセットの話なんです。先程の本田圭佑のように毎日を全力で生きればいいというのも行動を真似しようとしているだけでマインドセットを整えようとしていません。行動だけ真似しようとしているときのマインドセットは“この人(憧れの人)のように成りたい”です。あなたのマインドセットがこの状態になっている限り、あなたは空っぽの自分を埋めようと肩書ばかりを身に着けようとしているだけです。ここでの肩書とは、本田圭佑のように行動している自分。となります。これでは何者でもないなにかから抜け出すことはできません。

必要なマインドセット

有言実行と継続力

名前を活用するために必要なマインドセットは有言実行と継続力この2つだけです。当たり前のようでいてできていない人が多すぎるマインドセットです。あなたはどの様になりたいのでしょうか。この人みたいに成りたいという人を想像してください。想像できたならこんな人みたいに成りたいというマインドセットを“この人に勝ちたい”というマインドセットに変えましょう。この2つの何が違うのか分かりますか?まず、前者は憧れの人を自分の人生の延長線上に置いています。すなわちその人と同じ人生を歩もうとしているわけです。一方で後者は憧れの人を自分の人生の先を進んでいる人であると捉えているためその人を追い越すことも可能であると考えているのです。前者は他者の人生と同じ人生を歩むというマインドセット。後者は人生は自発的に動かすことができる可能性があるというマインドセット。と覚えてください。後者のマインドセットを持てたらそのために何をすべきかを考えます。

竹花貴騎から学ぶ道の決め方

竹花貴騎はこう言います。「自分が何をやりたいか(will)とそのために何ができるのか(can)この2つの間にあるのが今自分が何をすべきか(must)人生にはこの3つしかない」と。

自分が何をやりたいか(will)

まず、自分が何をやりたいのかと自分には何ができるのかを明らかにします。注意点として憧れの人に勝ちたいというのはあくまでもマインドセットを整えるための基準となる思考なので人生において何をやりたいのかとは違うことは伝えておきます。自分が人生で何をしたいのか目的を持ちましょう。プロのサッカー選手になるのか、世界中を旅行できるようになるのか、異性にモテる状態になるのか、大切な人に幸せな時間を提供し続けられる人になるのかなんでもいいです。幼い頃に抱いていた夢を今から目指すのもいいです。自分の夢があるならそれ叶えようと人生の目的に設定しましょう。別に一生物にしなくてもいいです。生きていくうちに目的が変わることもあります。ここを前提条件にして目的を立てます。

そのために何ができるのか(can)

目的を立てたらその目的を叶えるために自分が今何をできるのかを探します。例えばプロサッカー選手になるという目的を立てます。今自分にできることは地域の強いサッカーチームに入団する。ジムに行って体を鍛える。有名なコーチが出している著書を読んで勉強する。自宅でボールを蹴る練習をしてみる。部活で人よりも何倍も練習する。など色々あります。思いついたことを紙に書いてみましょう。

今自分が何をすべきか(must)

ここから、今自分が何をすべきか(must)につながります。(can)であげたことの中から優先順位をつけていきます。いまお金がないからジムは厳しいかな?自宅でボールを蹴る練習を毎日やりつつバイトもしてジムに行くための金を稼ごう。サッカーチームへの入団はできるかわからないな。親を説得して月謝とか援助してもらおう。というように優先順位をつけて今自分にできることをすべきことに変えていくのです。これが有言実行です。とにかくこれをやると決めたのならその目的を叶えるための行動を取るのです。あとは継続するだけです。

継続する

ただ、継続のマインドを持てない人は三日坊主で終わってしまいます。いつその夢が叶うかなんて誰にもわかりません。やり続けた者にしか結果は寄ってこないんです。最期は根性論かよと思うかもしれませんが根性です!!としか言えません。本田圭佑が根性なかったらあんなに名を馳せてはいませんよ。どっかで挫折して別の道を歩んでいたはずです。3日できたなら4日やる。4日できたなら5日やる。そうやって継続していくことでしかあなたの求める結果への道は開かないです。

まとめ

長くなりましたが、まとめますと名前を活用するうえで必要なのはマインドセットを整えること。そのためには憧れの人を目指すのではなく憧れの人に勝つ意識を持つ。そうすることで人生を自発的に動かす可能性があるというマインドセットを持つことができます。このマインドセットを持つことができたら、自分が人生で何をしたいのか(will)とそのために自分は何ができるのか(can)そしてこの2つの間にある今自分は何をすべきか(must)を見つけます。最後に私は人生でこうなります。そのために今〇〇をします!と有言実行しその行動を継続するマインドセットを持つ。となります。

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